古写真で考える、美しい着物の着こなし方
着物の着こなし方を考える時、日本の古い写真を見るようにしています。
1860年代以降、外国人が日本を訪れて撮影した写真は歴史的な資料として残されており、海外の学術機関が公開しているものをインターネットで閲覧することが可能です。
これは、アメリカの有名なスミソニアン学術協会の写真データベースに残されている日本の古写真。お座敷遊びで「コンコンチキ」をしている様子。
着物の合わせが浅くて、半襟が大胆に見えています。
こちらはFlickrで公開されている写真。横浜で撮影された、当時の子ども達の様子。弟や妹を背負って、着物に生活のシワが入ってたるーんとしているのがまた可愛い!
当たり前かもしれませんが、昔の人は補正していないですよね。腰に自然に帯を巻き、帯の上にオッパイが乗っていて、おはしょりはモコモコ。生活のための服という感じがします。
その他、長崎大学付属図書館幕末・明治期 日本古写真メタデータ・データベース-[撮影対象から探す]でも素敵な古写真を見ることができます。
当時の写真はモノクロですので、カラーで掲載されているものは写真に後から色を載せたものと考えられます。そこで、活躍するのが「日本の伝統色」「日本の配色」の2冊。
日本古来の着物や、陶磁器、美術品などの写真を参考にして、色味や配色のイマジネーションを掻き立ててくれるのです。この本をパレットにして、写真の彼らはどんな色の着物を着ていたのだろう…と脳内で塗り絵を楽しむことができます。
写真を見ていると感じるのは、今私たちが「これが正しい伝統的な着物の着方」だと思っている着姿…実はその価値基準も、生まれてから100年位しか経っていないのだということ。
私が一番好きな着物の写真は、この樹木希林さんと、娘の也哉子さん、お孫さんたちの写真です。希林さんは着物を対丈でゆったり着ていて、也哉子さんは紋付でおはしょりモコモコ。お孫さんは黒留袖のリメイクを着ています。ちょっと古写真に登場した女性たちの着こなしに似ていると思いませんか?
ご自分のスタイルを持って着物を着こなしているから、本当に素敵ですよね。本質的な装いの楽しみを知っていらっしゃる人。迂闊に真似ると火傷しそうですが、憧れます。
ファッションには流行があり、常に移りゆくもの。民族衣装の着物だって同じです。古写真を見ていると「民族衣装の伝統はこうあるべき!」…とはいっても歴史的に見ると比較的最近のトレンドじゃないか…と、ふと我に返るのです。現代に伝わる伝統、技術、礼儀も勿論大切ですが、ルールに極端に縛られすぎず、新しい流れを面白がれるような柔軟な頭でいたいと思うのでした。
(たまには宣伝)着物教室では、ひとりひとり目標に合ったレッスンプログラムをご用意しています。そんなところも、柔軟に…
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